沖縄の民話~ハーリーのはじまり~
- 2018年12月21日
- テーマ: 沖縄の民話
今日は前回、沖縄の民話を紹介してくれた名鏡さんから、民話第二弾をお届け。
若干、季節が違っちゃってますが、そこはご愛嬌。
次の5月まで待ってたら、載せるの忘れちゃいそうなのでσ(^_^;
では、早速見てみましょー!
沖縄の民話~ハーリー編~
沖縄の民話を紹介していただいてからというもの、
「民話っておもしろい!」
という思いに駆られ、沖縄の民話の本を何冊か買っています(笑)
そんな中「ハーリーのはじまり」なる話を見つけました。
ハーリーは以前のブログでも登場していますよね。
そのハーリーの起源についての民話です。
民話なので、もちろん歴史的に正しいかどうか分かりません。
インターネットで調べてみると、「諸説あり」と出るサイトもありました。
話のおもしろさを楽しんでいただけたらと思います。
ハーリーのはじまり
中国での話。
昔々、王様が家来を集めて、世の中で何が一番おいしいかをおたずねになった。
家来は、とりの御汁やら、肉汁やら、魚汁やら答える中で、一番の家来だけは
「塩が一番おいしいです」
と答えました。
王様は思いがけない返事にたいそうお怒りになり、お椀にいっぱいの塩を持ってこさせて、
「この塩を食え」
と命じました。
その男は塩を全部食べてしまいましたが、
(この王様のところでは、生きてはいられない)
と思い、離れ島に行ってしまいました。
これ以来、雨がずっと降り続くようになり、塩が作れなくなってしまいました。
国中の塩がなくなり、王様はどんなごちそうを食べても、塩が入っていないので、味がなく、ちっともおいしいと思いませんでした。
塩がごちそうだったこと、そして自分の間違いに気付いた王様は、離れ島にいる男を迎えに行くよう命じます。
家来が迎えに行くと、男は
「私を連れ帰るのであれば、竜の絵を描いた舟を三隻(さんそう)作って、太鼓を打ちながら、もう一度迎えに来てくれ」
と言いました。
そこで王様は、男の言うとおりに舟を作って竜の絵を描かせ、太鼓を打ち鳴らしながら、迎えに行かせました。
家来たちがその男を舟に乗せて帰ってくる途中、突然男が立ち上がり
「明日からは、雨も上がり、塩を作ることができますように」
と言って祈り、海に飛び込んでしまいました。
家来たちはおどろいて、すぐに海に飛び込んで男を捜しましたが、どこにも見つかりませんでした。
そのことを一刻も早く王様に知らせようと、家来たちは三隻の舟で競い合うように帰ってきました。
家来たちは王様に、男が海に飛び込んだ様子を申し上げました。
その日は、五月四日でした。
その日から男が祈った通り、長い間降り続いた雨が上がり、ようやく塩を作ることができるようになりました。
その後、毎年五月四日は、海に飛び込んだ男をしのんで、竜の絵を描いた舟で、太鼓をたたいて、舟の競争をするようになりました。
これが、中国のハーリーのはじまりだそうです。
参考文献「沖縄むかしむかし 子どもに語る沖縄の民話①」フォレスト出版 2007年
男の正体は……
科学的に考えるなら、この話はきっと梅雨明けの時期だからこそ成り立つのでは、と思います。
もしくは、男が梅雨明けの時期を知っていたのかもしれません。
しかしこれは民話。
ちょっと想像を膨らませて考えてみると、もしかしたら男は竜そのものだったのかも、とも思いました。
竜は古来より、水の神として祀られたり、雨乞いと関わったりしてきました。
(そういう存在なのは日本だけかもしれませんが、沖縄に残っている民話なので、あり得るのでは……)
雨を司る存在だからこそ、雨を止ませることもできた。
そして何より、男が要求したのは「竜を描いた舟」だったことも、そんな想像を膨らませる要因です。
ちょっと補足
ちなみに前回の「月にのぼったアカナー」の補足ですが、
「猿は次第にアカナーの屋敷を乗っ取りたくなった」
とか、
「自分の屋敷のように思えてきた」
といった理由で勝負を持ちかけた話が多いようです。